こんにちは、カルロス(@crls1031)です。
今回「円形のひさし屋根を作ってほしい!」という依頼を北海道の弟子屈から頂いたので、作り方を考える上で記事にまとめていこうと思います。
第1章は設計図を描くこと、第2章は作り方を考えます。
事前に書くことで極力不備のないように作り上げるのが目的です。
これから同様のものを作ろうとしている人に参考になれば幸いです。
Contents
レシプロカル構造のひさし屋根の設計図を描く
まずは第1章「設計図を描く」編です。
上から見た完成図は正八角形(半径3600mm)
依頼主から「半径3600mmの円形のひさし屋根を作ってほしい」と言われました。
DIY上等!ヒッピー建築なら丸太を使って円形で作ってもいいと思います。
ですが、今回ははグランピング施設のひさしですし、作業メンバーは2人。
丸太って簡単に手に入るんですかね?
ひとまず上記の条件のもと、ちゃんとした設計で作ることを考え「正八角形で作る」ことを了承いただき、設計し始めることにしました。
今回作るのは中心点から頂点までの半径が3600mmのものです。
頑張って色々計算した結果、各辺はこのような寸法が理論値となりました。
これは平面上で考えていますが、実際の屋根は勾配します。
ゆえに真上から見ると頂点までの距離は3600mm未満となります。
さらにレシプロカル構造を実現するために、中心の一点で屋根下地が集結するのではなく、円を描くように各点で下地同士が交わることになります。
僕は高度なCADも持っていませんし、使うことはできません。
これはDIY製作なので、このあたりは現場合わせで形にしていくことにします!
なんとかなることでしょう^^
正八角形を計算して出す
正八角形の導き方ですが、僕はこのように考えました。
まずわかる半径と角度を書き込んでいきます。
三角形の内角の和は180°ですからね。
これでオレンジ色で書いた直角三角形を出します。
数学が得意な方はこれからsinθ,cosθ,tanθなどを駆使して導き出すんでしょうが、ちょっと忘れてしまいました・・・汗
(詳しい方、ぜひ教えてください)
そこでこんなサイトを見つけました。→ 角度と斜辺から底辺と高さを計算
ここに斜辺(3600mm)と角度(22.5°)を入れるとなんと底辺と高さが出るそうなのです!
やってみました。
ここで出た底辺(3325mm)が正八角形の各辺の中心点と正八角形の中心を結んだ線の長さであり、高さ(1377mm)の2倍が1800mmの正八角形の一辺となりました。
それを書き込んだのが一番最初に出したこちらの図です。
やー、インターネットさまさまですな!
でも実際に数学的にはどうやって導き出しているか、理解したいっす・・・w
斜辺が900mm、1800mm、2700mmの計算結果も一応載せておきます。
屋根の下地は半径2700mmの正八角形
今までは完成形となる正八角形を導き出しました。
続いてはそれを支えるための下地の理論値を導き出します。
結論を言えば、今回は中心点から各辺の中点が2700mmの正八角形にします。
例によって、前回使ったサイトの別ページ「角度と底辺から斜辺と高さを計算」を使って導きました。
計算結果はこちらです。
上記で図で示した通り、斜辺2922mmは頂点までの長さ、高さ1118mmの2倍が辺の長さとなります。
このサイト、非常に有用ですね!
どの木材を使えばいいか?木材の強度を考える
屋根の大きさも下地の大きさも導いたので、続いてはこの寸法に見合う木材を選びます。
まず人が乗るレベルの床を作る場合、
- どのくらいのサイズの木材を
- どのくらいのピッチの下地で
で支えるべきかを考えます。
これは床における大引と根太の関係です。
両者の関係性は図の通りです。
大引が構造的に床を支え、その上に床を貼るための木材が根太といえばいいでしょうかね。
床では大引・根太、ですが、屋根だと柱・梁の関係になります。
そういったこと無視して、サイズとスパンだけを考えると以下のような図になります。
木材サイズ | 下地ピッチ | 俗称 |
---|---|---|
36*45 | 910(3尺) | 垂木、根太 |
27*105(?) | 1820(6尺,1間) | 間柱、根太 |
105*240(?) | 2730(9尺) | 梁 |
120*300(?) | 3640(12尺,2間) | 尺梁 |
※ 解説は下のコラムにて
ということで3600mm(2間)を飛ばすには尺梁(120 * 300)を使う必要があります。
2人で作業するには重くて大変難しいです。
ということで、2700mm地点で下地を組むことで下地の内側は2700mm、外側は900mm飛ばすことにしました。
黒が正八角形の下地、赤がそこにレシプロカルで載せる屋根梁(?)です。
上記したサイズとスパンの関係の図ですが、こちらは僕が信頼する親方から現場で学んだものです。
こういう関係性をネット調べてみても、建築士の方がめちゃくちゃ詳しく書かれていて理解できませんでした。
ただ古民家リノベーションの際、このサイズとスパンの関係で修繕しましたが、全く問題ありませんでしたね!
(どなたか詳しい方、正しい情報を猿でもわかるレベルで教えていただけましたら、幸いですm(__)m)
レプシロカル構造の参考動画
最近は在来の木材ばっかり使っていて、どうすればできるか煮詰まっていました。
ちょっと調べると丸太で作っているのは多いですが、製材された木材で作っているのは見当たりませんでしたからね。
そんな時に実際にツーバイ材でレプシロカル構造の屋根を作っている動画に出会いました。
一応シリーズを骨組み分の全部、載せておきます。
ポイントは
- 中心に八角形を事前に作りそこに屋根の下地をつける
ことでしたね!
このような手順でやれば屋根の梁と垂木もできることでしょう!
屋根の梁と垂木はツーバイ材で作る
今回使いそうなツーバイ材はこちらの表です。
名称 | サイズ |
---|---|
ツーバイフォー | 38 * 89 |
ツーバイシックス | 38 * 140 |
ツーバイエイト | 38 * 184 |
ツーバイテン | 38 * 235 |
先ほどのサイズとスパンの表に習い、2700mm飛ばすことになるのでツーバイテン(38 * 235)で中心から外側への屋根垂木を作ります。(赤線)
八方に屋根梁が通ったら、その後にその間を合板が敷けるように455mm(1尺半)ごとに屋根垂木を通します。
一番外側の外周はツーバイテン、それ以外はツーバイシックスで作ることにします。
レシプロカル構造のひさし屋根の作り方
だんだん見えてきましたよね?!
以上が設計図編です。
僕の中で、以上の図までできればもう大丈夫なので、これからは作り方を1つずつ考えていきます。
コンパスを使って基礎の位置を出す
基礎を作る場所は下地の正八角形(半径2700mm)の各頂点です。
間違ってはならないのは中心から各頂点までの半径が2700mmではなく、中心から辺の中点までの半径が2700mmであるということです。
つまり中心から各頂点までは2922mmとなります。
理由はレプシロカル構造で作った屋根垂木を、下地の辺の中点の位置で固定するからです。
製作する場所と中心点を決め、中心点から紐を2922mm引っ張ってコンパスで円を描きます。
頂点の探し方としてWikipediaにわかりやすい書き方がありましたので、これを活用します。
地球で数学する感じ、超楽しみっすね!
どうでもいい余談です。
人間が生きる上で大切な要素って「衣食住」ですよね。
住環境をより安全に作るためには計算が必要になります。
多分、原始的には住環境(すなわち建築)の発展が数学の発展に繋がったんじゃないかなーと思います。
(デジタルの発展はアダルトの発展に支えられたように・・・)
学校の黒板に使ってたデカイ直角三角形の定規とか、建築ではめっちゃ大切ですからね!
基礎はコンクリート平板と羽子板付き束石
基礎の場所をプロットしたら、続いては基礎を作ります。
基礎にはコンクリート平板と羽子板付き束石をモルタルで固める予定です。
基礎の作り方をフローチャートで書きます。
- 基礎を置く場所をスコップで200mm程度掘ります。
- 転圧機を端材で適当に作り、掘った場所を転圧します。
- 転圧しつつコンクリート平板を置き、水平を出します。
- 各平板の高低差を、レーザーを使って出します。
- 平板の上に羽子板付き束石を置きます。
- 柱を立て、屋根の下地を組んだ後にモルタルで平板と束石を固めます。
- コンクリート平板に土を被せて完成!
これでバッチリでしょう!
凄腕のDIYerは束石一発で寸法通りに決めることでしょう。
ただ、僕は今までたくさんのウッドデッキを作ってきましたが、基礎を寸法通りピッタリ決めることが難しいです。
なので300mm * 300mm あるコンクリート平板で大体の場所を決め、その上に束石を置き寸法通りぴったりを作ることにします。
束石の下に平板をおけば地盤沈下に強くなりますしね!
さらに基礎を頑丈なものにしたければ平板の下にも砕石を敷き、平板ごとモルタルで固めるのがいいでしょう!
今回はコストを考え、平板と束石を使う方法にしました。
柱を立てる位置は正八角形の各頂点
基礎が決まったら柱を立てます。
高さの希望は3600mm、ここでは105mm角のヒノキ材を使います。
ひさしは外に作るため、雨風に強い材木を使う必要があります。
外で安い杉材を使うとすぐに傷んでしまいますからね。
基礎で高低差をレーザーで出していたので、その誤差を柱の長さで微調整していきます。
軸組の柱のように刻み、あらかじめ作っておいた正八角形の下地とジョイントします。
画像は以前に親方とガレージを軸組で作った時のものです。
柱を屋根の下地となる正八角形に刺した後には、赤線の位置でボルトを結びます。
横揺れに強くするべく、頬杖を入れたいのですが、今回は八角形です。
直角なら簡単に入れられるのですが、、、
ひとまず現場で何かしらの材で頬杖を入れることにします!
よしゃ、これで、基礎 → 柱 → 屋根下地が完成となりました!
屋根仕上げは合板・アスファルトルーフィング・平トタン
屋根の梁と垂木に関しては「屋根の梁と垂木はツーバイ材で作る」に記しました。
あとの手順はもう大丈夫ですね。
フローチャートで記録しておきます。
これできっと大丈夫でしょう!
やぁ、設計するのに疲れました。
ひとまず、本番を迎えるまでもう少し考えることにします!