校長日記

ツーバイ工法で”高気密””高断熱”な小屋の作り方【200年、サスティナブれ!】

小屋作り

どうも、カルロス工務店 代表のカルロス(@crls1031)です。

最近「小屋」を作りたい熱が高まっています。

理由は工具が増えてしまったために工具用の倉庫が必要になったからです。

調べると10㎡未満の小屋なら事前の建築申請が必要なく作っていいとのこと。

それなら2つ(倉庫用・居住用)作っちゃえばいいじゃん、と思いました。

小屋

 

倉庫用にはそれほどの機能は求めませんが、居住用を作るならいいものを作りたい。

インスタントに作ってインスタントに壊れる現代的大量生産消費ものではなく、

200年先の将来まで使えるサスティナブルな小屋を作りたい。

それはツーバイ工法で可能なのかはわかりませんが、それくらいの気概で作ります。

そしてこのミニマムな高気密・高断熱の小屋作りの経験をもとに、今後の建築作業に役立てていきます。

現段階の僕の持てる知識をすべて、この1ページの放り込みますゼ!

 

このページを読んでわかることは

記事のポイント
  1. 法律上、どんな小屋なら建てていいの?
  2. 在来工法・ツーバイ工法の違いってなに?
  3. 高気密・高断熱の施工方法の秘策は?

などでしょう!

張り切っていきましょー!

↑ こちらは僕が挿入画像で大量に出演している西野さんが書いた本
:

どんな小屋なら作っていいの?10㎡未満の小屋なら建築の確認申請不要!

小屋を建てるために、まず法律の知識が必要です。

日本ではどこにでもどんなものでも建築していいものではありませんからね。

建築基準法

結論から言えば

床面積が10㎡未満なら建築の確認申請不要

ということです。

 

建築基準法の該当箇所を引用しておきます。

建築基準法 第六条 

建築主は、第一号から第三号 までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号 までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号 に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない

建築基準法 第六条

引用:第一号〜第三号について

つまり、なにがしかを建築する場合には「事前に申請せよ」ということです。

ところが第六条2には例外としてこう書かれています。

2 前項の規定は、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が十平方メートル以内であるときについては、適用しない。

こちらですね。

10㎡未満の場合は申請は不要

ということです。

これに従い10㎡未満の小屋は申請せずに作りましょう!

妄想

これ、床面積10㎡未満の場合の「高さ」について規定されてませんよね。

床面積10㎡の高さ10mの建築物とかは建てていいのかな・・・w

10㎡未満 小屋

↑ イメージ図w

 

10㎡未満の小屋を作るために知っておくべき「尺貫法」とは?

日本の建築はm法が日本に伝来する前からあるので、尺貫法の名残が色濃く残っております。

日本の設計図のグリッドは910mm(3尺)のマス目状にあります。

ホームセンターの商品も尺貫法による規格で販売されるのも多いため、尺貫法に則って制作するのがいいですね。

 

DIYする上で特に覚えておくべき数字は4つです。

 

m法 通称 尺貫法
303mm イッシャク、シャク 一尺
455mm シャクゴ 一尺五寸
910mm キューヒャクトー 三尺
1,820mm イッケン、ロクシャク 一間、六尺

 

これは建築する上で多用する数字なので、これを覚えるだけで建築の見方も変わってきますよ!

10㎡未満は何畳?6畳(9.94㎡)です!

1畳とは910mm * 1,820mmです。

これはホームセンターで買える面材(合板、石膏ボード)などのサイズと同じです。

一畳

これを6畳にすると、縦3,640mm、横2,730mmになります。

ゆえに、3.64m * 2.73m = 9.94㎡

約10㎡(10㎡未満)となります。

「6畳は10㎡未満である」ということですね。

ツーバイ工法ってなに?在来工法との違いとは

今回小屋を作るにあたり「せっかく作るならいいものを作りたい」という思いがあります。

これは当たり前の思いかもしれませんが、それはデザインではなく「機能としていいもの」という意味で僕は強調します。

 

素人のDIYなら見た目重視、デザインが優れた形になればいい、

簡単に作って、壊れたらまた簡単に作り直せばいい、という具合だと思います。

(僕が以前に参加したいくつかの小屋作りワークショップではそういうテイストでした)

 

でもある程度建築に対して知識が備わった僕は

小屋作りのポイント

極力 簡単 に、極力 機能的

作ろうと思っています。

小屋をツーバイ工法で作る理由とは

在来工法伝統工法で手がけたほうが耐久性が高いでしょう。

実際に伝統工法で作られた法隆寺は世界最古の木造建築として有名ですからね。

画像引用:No. 4510 法隆寺より

ただこれは簡単ではありません。

DIYで作るには難しく、ある程度熟練した技術が必要となります。

在来工法も継手を使いますしね。

なのでより簡単に作るためにツーバイ工法を選択します。

シンプルなツーバイ工法で簡単に作り、それを高機能にしていくことが今回の狙いです。

ツーバイ工法(木造壁式)・在来工法(木造軸組)の違いとは

ツーバイ工法と在来工法の違いは、簡潔に言えば建築物を「壁」で支えるか、「軸」で支えるかの作り方の違いです。

 

工法名 別称 要点
ツーバイ工法 枠組壁工法 壁で支える
在来工法 在来軸組工法 軸で支える

 

画像で見れば一目瞭然です。

画像引用:住まいのお役立ち情報より

 

在来工法の時には構造体となる「柱・梁・土台」などをつなぐ部分には継手が必要になります。

現在では木材は機械による加工(プレカット)でズレもほとんどなく作られ、また金物を使うことでより強度を増させています。

またこここそが大工の腕の見せ所で、これがあるゆえに大工が必要とされています。

これを素人がDIYでやろうとすると、なかなかズレてしまうものなんですよね。

画像引用: Pinterestより

 

一方、ツーバイ工法はより機械的に、より簡略した現代の建築方法です。

日本の大工のような技術が必要なく、誰でも簡単に作れるようにしたものです。

僕のイメージでは漢字を簡略化したハングル文字と韓国語みたいなものです。

 

在来工法とツーバイ工法に関しては議論されるところなので、様々な動画や文献を読むとより理解が深まると思います!

なぜ高気密・高断熱で作るのか?3つのメリットを紹介

「なぜツーバイ工法を選択するか」は、上記でご理解いただけたでしょうか。

まずはツーバイ工法で構造体を作ります。

そして、それをいかに地球環境に良く(エネルギー効率が良い)サスティナブル(持続可能)な建築にするかを考えていきます。

ここでのポイントこそが「高気密高断熱」です。

高気密・高断熱に作った際の主なメリットを3つです。

高気密・高断熱の3つのメリット
  1. 環境に優しい
  2. 建築物が長持ちする
  3. 健康的な生活ができる

 

3つのメリットが実現するメカニズム

高気密・高断熱で作るとエネルギー効率が良くなります。

夏は太陽の日差しを遮り、冷房の温度を室内に保ちます。

冬は外気の寒さを遮断し、暖房の効果を持続させます。

画像引用:断熱住宅.comより

家自体を魔法瓶の水筒にするイメージですかね。

魔法瓶の中身は夏は冷たいまま、冬は暖かいままですからね。

ゆえにエアコンの稼働を抑えられるため、エコな建築物となります。

光熱費も圧倒的に抑えられますね。

高気密・高断熱にするための施工方法を解説。その秘策とは

高気密・高断熱のメカニズムとメリットはご理解いただけたことでしょう。

これからはそれを実現させるための施工方法をまとめます。

高気密・高断熱にすればいいと闇雲にやった場合、それが仇となってその建築物の急所となることもあります。

正しい施工方法を知る必要があります。

その点を実際に現場に出入りして作業している僕の視点から考察します。

サスティナブルの敵は壁内結露にあり!

例えば施工がうまくされていない結果、気密を取れていない箇所があるとします。

そこから室内の湿気が壁内に漏れ、壁の中で結露が発生します。

それが壁内結露です。

壁内結露を起こした結果、壁内の断熱材にこのようにカビが生えてしまいます。

画像引用:三州瓦の神清より

カビ菌は室内に入り、健康障害が発生させる起因となります。

なので、高気密・高断熱の施工は大切ですね。

 

ショッキングな画像はセールスのため?

今までたくさんの現場に入り、築年数の古い物件の部分解体を行ってきました。

今回はショッキングな画像を選定しましたし、ネット上には多数のショッキングな画像が並んでいます。

ただ僕が入った現場ではネットでよく見られるような恐ろしい状態のものに、あまりお目にかかったことはありません。

セールスの謳い文句としてこのような画像を使われるということも少し理解するのも大切かもですね。

僕の経験数がただ少ないという可能性も否めませんので!

 

飽和水蒸気量のグラフを見て結露のメカニズムを解説

まず壁内結露のメカニズムですが、屋内と屋外の気温差によって生じる水滴が原因となります。

現代ではペアガラス、トリプルガラスのサッシが普及した結果、窓に結露が発生するのはあまり見なくなりました。

ただ幼い頃には窓に発生した結露を取り除く作業をした経験はありませんでしたでしょうか?

それが窓という見えるところなら実際に手を動かして除去できますが、壁の中なら手出しすることができませんよね。

 

飽和水蒸気量のグラウを用いて、結露が発生するメカニズムは以下の通りです。

壁内結露 飽和水蒸気量

飽和水蒸気量は気温と比例関係にあります。

気温の高いところでは水蒸気量を多く含めますが、気温が低いところでは水蒸気量は少ないです。

室内の気温が25℃、外気が10℃の場合のグラフを書きましたが、この飽和水蒸気量の差が結露として発生します。

結露の発生メカニズムを壁内に対応させてみた

アイジースタイルハウスさんがこれを壁に対応させて画像を作られていたので引用します。

室内から室外に向かうに従い、気温が下がっていきます。

ただ室内の水蒸気量のまま外気に向かうので、そこで露点温度に到達し結露が発生しています。

 

一方で内側に防湿フィルムを設置し、外側に通気層を作った場合のグラフを見ます。

室内の水蒸気は防湿フィルムにより、壁内への侵入を弾かれています。

またもし壁内で結露が発生しても、通気層で外気により乾燥されるので結露が発生しづらくなります。

ゆえに壁内結露対策には防湿フィルムによる気密通気層の確保がとても大切となります。

壁内結露対策には
  1. 防湿フィルムによる「高気密
  2. 外壁下地の「通気層

高断熱を実現するグラスウールの正しい施工方法とは

気密については上記で議論したので、続いては断熱です。

僕がDIYを始めた時の認識としては「壁内に断熱材を入れておけばいい」という認識でした。

でもこれは完全に間違っております。

 

正しい施工方法がわかる参考文献

建材ダイジェストさんがわかりやすい記事を書かれているので、こちらが非常に参考になります。

間違いだらけの断熱材施工 グラスウール編

僕の初期の認識でこの画像は見ると、問題なく施工されているように見えます。

画像引用:さくら事務所より

ただこれはダメな事例です。

問題点は以下の2点です。

問題点
  1. 隙間がある
  2. 気密シートがカバーしてない

 

正しい施工方法を見てみます。

画像引用:イエ家いえより

ポイントは3点です。

正しい施工ポイント
  1. 耳(付属気密シート)を出し、間柱や柱にちゃんと止める
  2. コンセント周りはちゃんと切り取り、気密テープでカバーする
  3. 筋交いなども気密シート内に含める

以上です。

見えない下地とはいえ、ここが家の機能を担保するところとなります。

断熱層に隙間があればそこから暖気(・冷気)が漏れてしまいますからね。

グラスウールとスタイロフォームの比較

壁内に充填する断念材として僕は「グラスウール」「スタイロフォーム」が考えられました。

2つの性質を比較してみます。

断熱性 防湿性 防火性 価格
グラスウール ×
スタイロフォーム

 

スタイロフォームは断熱性も高く、グラスウールよりも防湿性に優れています

防湿性に優れているところから、もし壁内でカビが発生する事態に陥った場合も、グラスウールよりも進行を防ぐことができるかもしれません。

ただ価格がスタイロの方が上がってしまうため、僕が自宅に作る場合にはグラスウールを選択します。

そして上記したようにしっかりと気密を取ることを心がけることにします。

【秘策】内壁に”配線層”を作ることで気密性を担保

実際に作業していて、難しいのはコンセント周りです。

また、この記事を書く上で調べた結果、筋交いも防湿フィルムで覆う必要があることを勉強しました。

これを簡単位する方法として、岐阜県のエムズアソシエイツさんが面白い施工方法を実践されていました。

こちらです。

僕から表現しますと、気密シートの内側に「配線層」を設けた、というイメージです。

配線層

グラスウール気密シートを切ることが気密性を失う要因となります。

コンセントや筋交いの周りでグラスウールの切る必要がありますが、この施工方法では必要はありません。

一旦断熱層、気密層をしっかりと作り上げてから、配線層を設けることで気密シートを切る必要を排除しています。

胴縁分(15mm)部屋は狭くなりますが、確実な気密性が担保されているので、それは問題ないでしょう。

コンセントが多数必要な小屋作りの場合、この手法を採用するのは悪くないでしょう。

袋なしグラスウール

僕は現場ではほとんどビニール(気密シート)付きのグラスウールばかり触りました。

しかし、ビニールなしのロール状のグラスウールも販売されているようですね。

画像引用:「藏家」

工務店によっては、袋なしグラスウールを壁内に充填し、上から防湿フィルムを貼って気密性を担保している施工が見られました。

こちらの作業でもいいかもですね!

 

2022年、小屋作りワークショップ開催予定

ということで「高気密・高断熱」にテーマを絞って記述しました。

小屋の作り方まで書こうと思いましたが、文量が多いのでこの辺にします。

この知識を持って小屋作るワークショップをする予定なので、興味のある方はお待ちください。

またこの知識を持った僕を小屋作りで召喚したい場合には、ぜひ下ページへ^^

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